伸び悩む秋!
「壁」を乗り越えるには
秋は大学受験生がグラつきやすい季節と言える。様々な状況から、なかなか成績が伸びにくい時期だからだ。目に見える伸びを確認できないために焦りが増し、目標にしてきた難関大学受験をあきらめて、年内入試で、これからでも出願できそうな大学を調べてみたりする。とにかく気持ちがキョロキョロし出すのだ。
小論文の力をもう一段引き上げるには、伸び悩みの原因をしっかり見極めることが大切だ。
知識不足で伸び悩む
春、夏から小論文の学習を始めている人は、志望校に向けた対策課題に秋頃から取り組み出す。書き方さえ学べば、基礎課題はなんとか太刀打ちできたものの、志望校対策課題では問題の難易度も上がるため、そうはいかないケースもたくさん出てくる。
うまく書けない最大の原因は知識不足によるものだ。知識が不足しているため、「課題文の主張がよく読みとれない」「論じるためのネタが思い浮かばず、何を書いたらよいのかわからない」といった現象に陥り、トンチンカンな小論文を書いてしまう。
この壁を突破するには、とにかく知識の補充に努めることが大事だ。まずは志望する学部関連の知識ネタを仕入れてみよう。そこから関連分野や背景となる知識も仕入れて徐々に知識のすそ野を広げていくとよい。『読むだけ小論文』(Gakken)シリーズや『小論文これだけ!』(東洋経済新報社)シリーズを活用しよう。
得意ネタにしばられて伸び悩む
白藍塾の受講生にたずねると「知識をつけるのは楽しい」という回答が案外多い。「このネタをいつか使ってやろう」という発信の意欲が湧くためかもしれない。よいことだ。意欲的にたくさんの知識を吸収してほしい。
気をつけたいのは、お気に入りのネタで、なんでもかんでもまとめようとしないことだ。たとえば「民主主義とは、民衆の一人ひとりが自由を保障され、人権を認められて自由に生きること」というフレーズが気に入り、どんな課題にも、これを持ち出し、説得を図ろうとすることだ。無理にこじつけようとすると、やはり論理矛盾を起こす。問われている内容とずれた解答を書くことにもなりかねない。
得意ネタを使って「ずれている」との指摘を2回以上受けたことのある人は、得意ネタをいったん頭の中から切り離そう。そして問われている問題点に対し、イエス・ノーそれぞれの意見の根拠としてどんなことが挙げられるかを考えてみる。そのうえで、得意ネタを使うことは果たして有効かどうかを考えるようにしよう。
欲張って書きすぎて伸び悩む
知識の獲得に非常に熱心な人がいる。一つの小論文を書くのに、数冊の本を購入し、図書館からも何冊もの本を借りてきて、インターネットでもあちこちを調べまくる。そうやって、山ほどネタを集めてから書こうとする。意欲は大いに褒められる。
ところが、そういう人にかぎって、集めたネタを捨て切れず、あれもこれもとたくさん盛り込もうとする。挙句の果て、何を主張しようとしているのかわからない文章を書いてしまう。しかも、あれこれ書いている割には、肝心の自分の考えが書かれていない場合が多い。これではいくら書いても上達しない。
原則として、ネタは一つにしぼろう。苦労してあれこれ調べたネタを捨てるのはもったいないと思うかもしれないが、思い切って一つにしぼろう。しぼったネタについて、じっくり考えて、自分の考えを反映させるようにしよう。
知識との付き合い方が「壁」を突破するカギ
基礎段階を過ぎた後に伸び悩む人は、知識の不足だけでなく、知識の運用の仕方に問題があるようだ。新しい知識を補充しつつ、知識の使い方を実践を通して学ぶのがこの時期に取り組むべき学習だ。基礎段階とは異なり、知識をため込み、知識の運用の仕方を試行錯誤する段階なので、目に見える成長は感じられない時期かもしれない。
教務主任 大原理志に、このような受講生に対し、どうアドバイスするとよいかを尋ねた。
「これまで取り組んできた添削済みの小論文答案を見直すように促します。基礎を踏まえて書いた答案がいかに説得力があるかを自覚させたうえで、基礎力に問題があるのではなく、知識の運用の仕方に問題があることを本人自身に確認してもらうためです」
現在の答案だけでなく過去の答案にも言及しながら軌道修正を図る指導法は、担任制だからこそできるワザだ。