文章教育コラム

大学の先生が小論文問題を作るときに考えること

 そもそも大学の先生はどんなねらいをもって、小論文問題を作っているのだろうか。
 じつは白藍塾塾長樋口裕一は、大学教授として入試の小論文問題を作り、採点した経験がある。今回はその経験をもとに、大学教員が小論文試験を実施する目的を紹介したい。
 大きく分けて3つある。

大学の先生が小論文問題を作るときに考えること

ねらい1その大学・学部で学ぶにふさわしい人間を選別する

最大の理由は「その学部で勉強するにふさわしい人間を入れたい」ということに尽きる。

各大学の学部・学科には、それぞれの学部・学科特有の価値観や考え方がある。その学部で学ぶにふさわしい学生を入れないと、その人にとっても、学部・学科にとっても不幸なので、それに最も気をつける。

つまり、基礎学力があり、その学部・学科で学ぶことに向いている学生を入れるために、それを確かめられる問題を出し、それに答えた受験生に高い評価を与えているのだ。

ねらい2「大人の常識」を知っている人を選別する

もうひとつ、小論文問題をつくるときに、心がけていることがある。

それは「受験生には、ニュースで話題になっているような「大人の常識」を知っておいてほしい。それを知っているかどうかを確かめられるような問題を出したい」ということだ。

ニュースに日常的に触れている大人であれば、「現代はグローバル化しており、その結果として現在さまざまなことが起こっている。たとえば…」といったことを当たり前のこととして知っている。

そうしたことを当然のこととして知っている学生をとりたい、と思っている。

大学教員が小論文問題をつくるとき、そのような「大人の常識」をもっているか、それを踏まえたうえで「自分の考え」を示せるかを試せるような問題を作っている。

ねらい3外に見られても恥ずかしくない問題を出題する

じつはもうひとつ、小論文問題をつくるときのポイントがある。それは「外部に見られても恥ずかしくない問題にしよう」ということだ。

入試問題は公開される。そして、しばしば入試問題によって、その大学の特徴やレベルが判断される。

ほかの科目、たとえば数学や社会科や英語なども公開されるが、それらは一般の人には判断しにくいだろう。

しかし、小論文の場合、一般の人でもわかる問題であることが多い。

そのため、「あの大学はこんなつまらない問題を出しているのか」などと思われないような問題にしようと考える。

簡単すぎる問題を出すと、「そんなレベルの低い大学なのか」と思われてしまうので、「ちょっと難しめの問題にして、大学外の人に感心してもらおう」などと考える問題作成者もいる。

例年より難しめの問題が出題されても恐れる必要はない

ライバル大学が難しい入試問題を出すと、「自分の大学もそれに匹敵するような難しめの問題を出そう」とする。実はそのようにして、小論文の問題が難しくなっているという面も否定できない。

難しい問題をある意味で「見栄」で出題しているわけだから、受験生の多くはそのような問題をしっかり書けるわけではない。「おやおや、例年よりだいぶ難しいぞ」と感じたとしても、それはあなただけでなく、試験会場の受験生みんなが感じていることだ。高望みをした解答を作ろうとせず、なんとか書き上げれば、合格点に手の届く可能性は高い。

こういった裏事情も理解したうえで、小論文の入試問題に取り組むとよい。

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