出願書類を面接練習に役立てる
面接の準備をするうえで、質問を予測することは大事なのだが、これがなかなか難しい。しかし、面接官の手に渡っている「台本」を基に考えれば、かなりの予測が立てられる。
出願書類は面接の「台本」である
出願時に、願書といっしょに提出する書類がいくつかある。
国公私立のどの大学・学部・学科でも、総合型選抜、学校推薦型選抜にかぎらず、年内入試では、志望理由書は十中八九含まれる。総合型選抜では、志望理由書以外に活動報告書や課題レポートなど、複数の書類の提出を求められる場合が多い。
出願時に提出したこれらの書類は面接審査をする大学教員が受験生に尋ねる質問を考えるための「台本」になる。
面接官は「台本」をながめながら質問を考える
提出された志望理由書に「将来は公認スポーツ栄養士になりたい」と書いてあれば、「公認スポーツ栄養士という資格をいつ、どのようにして知りましたか」「将来スポーツ栄養士として、どんな人たちの力になりたいと思いますか」といった質問をしてみたくなる。ある指定図書に関する課題レポートの提出があったとしたら、「レポートの要約を説明してください」といった質問が思いつく。指定図書をきちんと読んでいるかを確かめるための質問である。学校の先生や生成AIに頼らず、自分で考え、自分で書いたのかを確かめるための質問としても有効だろう。このように、面接官は、書類に目を通しながら、面接の大まかなシナリオを頭に描く。一人一人の受験生の資質、意欲を見るために、そして最近では、受験生が自力で書きあげた書類か否かを判断するために、それぞれの「台本」をながめながら、どういった質問をするのがよいかを考える。
こういった面接官の心理を読みながら、どのあたりを突かれそうかを考えると質問の予測も結構できるだろう。
「台本」を把握する
「台本」は2種類に分けられる。一つは調査書、推薦書、賞状、資格証明書など他人が作成してくれたもので、もう一つは志望理由書や自己推薦書、活動報告書、課題レポートのように受験生自身が作成したものだ。
他人の作成してくれたものは記載内容を把握しておこう。調査書は開封して見ることはできないが、各教科の成績や欠席日数など、わかる情報を把握しておく。推薦書、賞状、資格証明書などは、記載事項について質問を受けた際に説明できるように備えておく。
志望理由書や自己推薦書など自作のものは、まず自分が何を書いて提出したのかを理解しておかなくてはならない。書いた内容と面接でこたえる内容に矛盾が起きないようにしよう。そのためには、全体像(大体どんなことを書いたのか)と訴えどころ(一番言いたいこと)を、書類を見なくても説明できるようにしたい。
「台本」を深掘りする
「台本」を把握できたら、次に「台本」を深掘りする。
志望理由書などの出願書類をながめながら、面接官に指摘を受けそうな箇所を探そう。そして想定できる質問を考える。受験生側からの「台本」づくりと言ってよい。出願書類の「突っ込みどころ」を探すためのヒントとなるのが、次に紹介する「ぐ・り・い・ち」だ。
ぐ・具体的な内容を聞く
「具体的に…」「たとえば…」「特に…」といったフレーズを用いて、具体的な説明、具体例、特筆すべき例などを質問する。
例えば、志望理由書に「災害現場で活躍できる看護師になりたい」とあれば、「具体的にどういった活躍をしてみたいですか」「特にどういった災害で役立ちたいと思いますか」などの質問を想定できるだろう。
り・理由を聞く
「なぜ…」「どうして…」などのフレーズを用いて、回答内容の理由、原因、意義などを質問する。
「ぐ」と同様の志望理由書の場合に、「なぜ災害現場で活躍したいと思ったのですか」などが想定できよう。さらに、内容で迅速に対処する重要性を主張しているとしたら、「なぜ災害現場では迅速さが求められると思いますか」などの質問も想定できるだろう。
い・意志を確かめる
志望理由や将来の目標、ある問題に対する意見などに対し、意志の確かさを確認するために質問する。
例えば、志望理由書に「DMAT看護師になりたい」と書いていたとしたら、「難関ですよ。合格するまであきらめずに目指すことができると思いますか」といった、決意のほどを確かめる質問が想定できそうだ。
ち・知識を問う
回答内容に含まれていた言葉の意味や背景知識を理解しているのかを確かめるために質問する。
「い」と同様の志望理由書の場合に、「DMATの意味を説明してください」「DMAT隊員としての看護師の役割を説明してください」といった、書いて提出した内容の中の言葉の意味や背景となる知識を把握しているかを問われる可能性は高い。
「ぐ・り・い・ち」で提出した出願書類の行間を深掘りすることで、書いた内容に対する理解が深まる。そうなれば、たとえ事前に予測できなかった質問を受けても、一定レベルの回答を返せるようにはなっているはずだ。