小論文では、感情的な言葉を使わない
ときどき「文章によって説得する」の意味を勘違いしている人がいる。ある問題に対し、いかに自分が賛成と考えているか、あるいは、反対と考えているかを、論理ではなく、感情によって説明しようとするのだ。「すばらしい」「美しい」「気持ちいい」「許せない」「意地悪だ」「ひどい話だ」などといった感情的な言葉を使って相手を言い負かそうとするような文章がそれにあたる。
「論理的な文章」と「感情的な文章」の違い
小論文は、文章によって自分の意見を読み手に説得しようというものだ。ある問題に対して、自分がなぜ賛成と考えるのか、または反対と考えるのかを論理的に冷静に説明する。
「論理的な文章」と「感情的な文章」の違いは、なんだろう。ひと言で言うと「自分とは違う立場の人の言い分を理解したうえで書いているかどうか」だ。
自分がある問題について、賛成の立場を取ったとする。このとき「反対の立場の人もいるだろうが、自分はこういう理由から賛成だと考える」と書くのが、論理的な文章だ。そして、「その背景にはこのようなことがあるので賛成だ」「このまま放置すると、このような事態が起こるおそれがあるので反対だ」というように根拠を示して説得する。
一方、「自分はこういう理由から賛成と考える。これは人間なら当然で、そうでない人は許せない」と書くのが感情的な文章だ。これでは子どもが「イヤなものはイヤ」とダダをこねているのと同じで、とても論理的で説得力のある小論文にはならない。
反対の立場を理解して書くと論理的になる
たとえば、「子どものSNS利用を法律で禁止するべきか」という問題に対し、反対の立場をとったとしよう。その場合には、「確かに、未成年で適切な判断のできない子どもにとって、SNSはトラブルにつながる危険が多く、何らかの制限が必要かもしれない。しかし、私は反対だ」と自分とは異なる立場に対して一定の理解を示したうえで、自分の意見を主張するのがよい。そのうえで、「SNSに書き込むのは表現の自由にあたる。特に子どもにとっては、自分が得意なことを発信したり、自分を表現したりするための手段にもなっている。それを法律で禁止するのは、表現の自由の侵害につながる恐れがある。したがって、私は子どものSNS利用を法律で禁止することには反対だ」などのように、なぜ反対するのかを根拠とともに示すと論理的で説得力のある文章になる。
日頃から感情的な言葉を使わないという心がけが大事
実は、「すばらしい」「美しい」「気持ちいい」「許せない」「意地悪だ」「ひどい話だ」などの感情的な言葉を使わないように心がけることで、必然的に筋道や判断に基づいた理性的な言葉を探すようになる。そうやって、集めてきた言葉で組み立てられる文章は、自然と論理的になる。小論文上達のために、ぜひ日頃から心がけてもらいたい。