医学・医療系の小論文では適性を
上手に示したい
大学入試の小論文には、多かれ少なかれ「適性検査」という面がある。それは文系、理系、学際系を問わず全ての学部学科の小論文試験について言えよう。だが、その中において、医学・医療系の学部は特別で、小論文で適性を見るねらいは他のどの学部よりも強く、合否の決め手となっている。
医学・医療系の小論文=適性検査
医学・医療系の学部に適性のない人を入れてしまうと、困るのは本人だけでない。そうした人が将来医療者になることは患者の命や社会全体に関わる大きな問題になりかねない。もちろんそうした適性を欠く医療者を出した大学の責任も問われる。
考えてみれば、世の中のほとんどの仕事では、職業的な責任感は実際に仕事に就いてから身につけるものだが、医師・看護師ほか医療従事者の場合はそうはいかない。見習いとはいえ、人の健康や命にかかわる仕事につくからだ。
それだけに入試の段階で厳しい選別をせざるを得ない。だからこそ医学・医療系の小論文では、志望者の適性検査という面がほかの学部に比べて強くなる。もちろん思考力や教養なども求められるが、将来医療の現場を任せられる人間かどうかという点も、同時に試されるわけだ。特に、最近は、従来の知識偏重の医学教育が批判され、「人間力」を育てる新しい医学教育のあり方が模索されるようになってきている。
医学・医療系の小論文でアピールしたい8つの適性
医学・医療系の小論文でアピールしたい適性として次の8つが挙げられる。
- 人命を軽視しない
- 弱者に対するやさしさがある
- 経済効率だけで考えない
- 論理性を大事にしている
- コミュニケーション能力がある
- 医療の現状に関心がある
- 社会的に広い視野を持っている
- 知的好奇心・向上心がある
このうち最初の3つは一般的な倫理観を持っていれば特に対策は必要ないと思うかもしれない。しかし、実際に小論文を書く際には、こういった点を意識するあまり、うまくいかないことも結構ある。例えば、弱者に対するやさしさをアピールしようとつい感傷的になり、論理性を欠いた文章になってしまうようなパターンだ。
「人命を軽視しない」「弱者に対するやさしさがある」「経済効率だけで考えない」の3つをアピールする際の注意点を紹介しよう。
人命を軽視しない
→ 命の価値に優劣はないと心得よ
医療とは、人の命を預かる仕事だ。それなのに、人命を軽視するような考え方をするようでは、医療者としての資格はない。また、「重度の障害者の命は、健康な人の命より価値が低い」といった命の価値に優劣をつけるような考え方を示さないように注意しよう。「裕福な人は高度な医療を受けられるが、貧乏な人はそうではない」といった実情はあるにせよ、そうした状況を無条件に認めるような論じ方をしてはいけない。医療はどんな人にも平等に開かれているべきものだからだ。
弱者に対するやさしさがある
→ 弱者の立場で物事を判断せよ
子どもや妊婦、高齢者など社会的に弱い立場にある人たちに対してやさしさを持っているかどうかも大きなポイントになる。医療とは、体や心が弱っている人たちを助ける仕事だ。そうした人々を切り捨てる、またはそうした考え方を正当化するような書き方をするべきではない。とはいえ、単に「病気の人や高齢者はかわいそうだから大事にしなければならない」といった感情を伝えるだけでは説得力がない。弱い立場の人たちに寄り添い、そうした立場の側に立って物事を判断することが重要だ。
経済効率だけで考えない
→ 人命重視、弱者に寄り添うことを優先せよ
何事も、経済効率を考えることは大切だ。しかし、医療の場合、経済効率だけを考えると、しばしばうまくいかない。それこそ、人命軽視や弱者切り捨ての論をうっかり展開してしまう恐れもある。経済効率だけで物事の良し悪しを判断するような書き方は、医学・医療系学部の小論文では絶対にしてはいけない。
もっとも、客観性をアピールするために、意見提示で「経済効率の面を考えれば、・・・という問題もあるかもしれない」といった書き方をする場合もあるだろう。しかし、それでも、最終的には、人命重視、弱者に寄り添うといった医師として当然持っているべき倫理観を主張することを忘れないように心がけたい。
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