どっちつかずの結論では
高得点を得られない
小論文を書いているうちに、「はたして、この結論でいいのだろうか」と不安になることがある。もちろん書くまえの段階で、YESかNOをしっかり決め、構成もきちんと考えていれば、そうしたことはまず起こらない。だが、なかにはアイデアや構成が中途半端なまま書きはじめてしまい、途中で不安になってしまうことがある。
100%正しいことなんてない。その通り!だが…
世の中で「絶対にAが正しい」と言えることは、そうないものだ。「A以外は絶対に認めない」などと言えば、「偏った意見の持ち主」と思われかねない。九割方は正しいと思えることでも、少しは違うと思う部分はある。物事を客観的に判断するほど、そうした傾向は強くなる。だがこうした考え方は、小論文を書くときにはかえって邪魔になる。
小論文では「AもBもどちらも正しい」という結論を述べても、高得点を得ることはできない。小論文は限られた文字数のなかで課題についてYESかNOかを答えるものだ。それをどっちつかずの結論にしたのでは、課題に対してきちんと答えたことにならない。
迷いを生む原因として次のようなことが考えられる。
反論が強すぎる
説得力を出すためには自分とは反対の立場の意見にも一定の理解を示すのがうまいまとめ方だ。意見を提示する際に、「確かに…しかし~」という構文を用いて、反対意見の良い点を挙げたうえで、「しかし」で切り返し、自分の意見を述べるとよい。
ところが、反対意見の良い点として挙げた根拠に説得力がありすぎて、改めて見直すと自分の意見より正しく見えてくることがある。そこで、「しかし」の後に、さらに「しかし」と反論の反論をしてしまう。そんなことをしているうちに論が複雑になり、結局YESなのかNOなのか、どちらの立場に立っているのか読み手に伝わらなくなってしまう。
アイデアが絞り切れていない
もうひとつの失敗は、使うアイデアを絞り切らずに書き出した場合によく起こる。
小論文は、いきなり書き出すのではなく、アイデアメモを作ってから書くのがよい。与えられた課題に対し、YES・NO両方の立場の根拠となるアイデアを思いつくかぎり書き出してみる。それがアイデアメモだ。アイデアメモができたら、どれを自分の意見の根拠とするのかを検討することが必要だ。できるかぎり1つに絞り込む。絞り込んだらそのアイデアを深く掘り下げるためのメモをさらに書く。ここで、絞り込まずに、あいまいな状態のまま書き出してしまうと、途中から「ほかのアイデアのほうが説得力のある根拠になりそうだな」などといった不安に襲われる。その不安を払拭しようと余計なことを書いてしまい、挙句の果てに仕上がった小論文は、YES・NOのどちらの意見なのかわからないものになっている。
一度決めた結論は途中で変えないのが原則
迷っていると時間ばかりが過ぎていく。YES・NOのどちらを選んでも一理はあるのだから、早い段階で決めてしまうことが重要だ。なかなか決められないときは、どちらのほうが論理を展開しやすいか、よい説得材料を出すことができるかで選ぶのも手だ。とくにそのテーマについて、知識を持っていない場合は、とにかく持っている材料がYES向きかNO向きかで、結論を決めてしまえばいい。そして、とにかく一度決めた結論を途中で翻さないと決めることだ。